それは、2000年代の始めの頃、
日本経済が新たな胎動をめざして試行錯誤していた時代でした。
私は知人より、不思議な相談を持ちかけられたのです。
「じつは、麻酔科医が足りなくて、多くの病院が困っているのだが、
そのいい解決方法はないだろうか」
当時私は、医療についてはまったくの門外漢でしたが、
「麻酔科医がいないと手術が中止になることもある」と聞くにおよび、書物を集め、知己をたどり、日本の医療制度について調べてみたのです。
知人の話は、本当でした。
いいえ、知人の話以上に、日本の医療現場にとって麻酔科医の不足は、喫緊の課題であることが、すぐにわかりました。
「このままでは、安全安心な日本の医療の土台が揺らいでしまう」
いい知れない危機感と使命感が身体の奥底から湧いてきた感覚を、今でも覚えています。
私は次の日から、行動を起こしました。
幸いなことに、当時知人の紹介でよく知っていた
大森会長(当時 東京警察病院形成外科部長)に相談、ビジョンに
賛同してもらいました。
また、行動を共にしてくれる仲間も得て、事業をスタートすることができました。
当時のオフィスは、3人のメンバーがやっと座れるスペースに、
電話と机だけの簡素なものでしたが、
志の高さと熱気だけは豊かに満ちていたように思います。
そして創業期から新たな時代を迎えた今、
麻酔科をはじめ、日本の医療の状況は、大きく様変わりしました。
コミュニケーションの手段もメールや携帯電話が一般的となり、事業について
ご理解いただける医療機関、麻酔科の先生もずいぶん増えました。
その一方で、新たに取り組むべき課題も増えてきました。
世の中の変化と同様に、麻酔科医の先生の価値観やライフスタイルも
多様化が進んでいます。それにともない、多様な働き方や生き方が可能になってきました。
今まで以上に、お話をゆっくりお聞きし、先生の価値観にふれることで
転職や一時的な仕事のご紹介だけでなく、将来設計を含めたご提案も
させていただけるようになっています。
開業のご支援、他の診療科のお仕事の紹介なども開始いたしました。
麻酔科医のステイタスの向上、役割の啓蒙は、起業時より取り組んできた課題ですが、具体的な仕組みづくりも始めています。
安心して、より豊かにお仕事に、プライベートに、充実した時間を過ごしていただける
ようなお手伝いをしたいと思います。
最後に、MDマネジメントの中長期的な目標である“Longevity Countryの実現”に
ついて、ご紹介させていただきます。
私たちの考えるLongevity Countryとは、健康で、
心身ともに満たされた長寿長命社会です。
麻酔科医の先生および医療機関の皆様をサポートさせていただくことで、
ひいては、患者の方に高品質な医療、そして健康な毎日を
享受いただきたいと願っています。
幸せな国は医療がつくる。
今まで以上に、強い使命感を胸に取り組んでまいります。
今後とも、ご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
代表取締役社長 小谷洋三